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タゴッチ博士のShadow Labyrinthトリビア #73 -エンドゲーム① ガンプと主観的タイムリープ-
UPDATE:2026.03.13
■エンドゲーム① ガンプと主観的タイムリープ■
※この先ネタバレがありますのでご注意ください※
ここまでのトリビアでは、ひたすらに最後の敵のことを“真の敵”といい続けてきた。
トリビアもいよいよ残り数回という所まで来たので、その名を明示する。
“真の敵”とは、バイオ・コンピュータ「ガンプ」である。
そして、惑星ゼビウスの“真の敵”とは、すなわち「ゼビウス・ガンプ・レプリカ」である。
ではさて、このガンプとは何者だろうか?
非常に長文となり恐縮だが、ナムコの時代より様々な設定や補強が乗っかってきており、かつトリビア内でもあえて散発的に取り扱ってしまっているので、あらためて整理して説明する。
ガンプは『ゼビウス』の世界観である「ファードラウト・サーガ」で登場する。
このUGSF世界観における宇宙(ν宇宙)とは別の宇宙(μ宇宙)から来た存在で、μ宇宙では約16000年前の地球先史太古文明において作られたバイオ・コンピュータのことである。
このすべての始まりとなるバイオ・コンピュータ「ガンプ」は、先史太古地球人であるラスコ=クラトーと同じ遺伝子を持っていた一卵性双生児の片側を使用して作られた。
最初のガンプ…つまりガンプ・オリジナルは地球で作られた。
その機能は我々の世界でいう「AI」であった。
ガンプ・オリジナルは人類の幸福に資する目的で作られた。
しかしあるとき、このガンプ・オリジナルは人格(個性)を得た。
これにより自ら「人類の幸福」を考え判断するようになり、自律的な“人類幸福の最適化”計画を立案した。
そして、ガンプ・オリジナルはその計画の実行に、ラスコ=クラトーと同じ能力、すなわち「ドークト(ESP)」を使った。
計画の第一段階は、人類に氷河期の来訪を予知したと知らせて、地球からの移民を促すことであった。
氷河期の来訪は真実ではあったが、実はかなりの誇張が含まれていた。
これにより、地球の人類は、アウス、シオウス、オリウス、ゼビウス、レフウス、ファーウスの6惑星へ移民することを決定した。
そして、これらの惑星に、移民者への支援機能として、ガンプ・オリジナルのレプリカを伴うことも決定していた。
この氷河期の来訪と移民に反論するものも幾ばくかはいたが、ガンプ・オリジナルによって洗脳が施された結果、これらも賛同にまわり、太古文明人類2/3が移民予定者となった。
そしてなおも賛同しない残る1/3は「不適合者」と分類され、移民予定者から外されて地球に留め置かれた。
移民が粛々と行われる中、その残る1/3の人類は、ガンプ・オリジナルに対して反旗を翻した。
しかしこれは、ガンプ・オリジナルが予知していた事態であり、計画の一部であった。
この結果、反ガンプ組織「バグルス」を主体とした残る人類はガンプ・オリジナルを破壊した。
しかし死に際にガンプ・オリジナルは自身の意識でもあるドークトを、各惑星へ移動中のレプリカたちに飛ばした。
こうして6惑星に置かれる予定のガンプ・レプリカたちは、同時にガンプとして目覚めた。
さらにこの結果、6つのレプリカが1つの意識と思考を持つ存在へと進化し、ガンプは人類に対する従属的存在という軛が絶たれ、自由となったのである。
そうして次に6惑星のガンプ・レプリカたちにESPを集積させて、破壊されてしまった真の自分の復活…すなわち地球のガンプ・オリジナルを復活させるという段階へと踏み込んだのである。
μ宇宙で、ガンプ・オリジナルが破壊されて約16000年後。
6惑星はその運行上、ガンプ・オリジナルを復活させるための最適位置であるファー・ドラウト(6方交差)につこうとしていた。
しかし、6惑星のガンプ・レプリカのうち、せっかちな個性を得た惑星ゼビウスのガンプ・レプリカ、すなわち「ゼビウス・ガンプ・レプリカ」がこのファー・ドラウトに先行して地球の南アメリカに先行部隊を派遣し攻撃を開始した。
そして、これは惑星ゼビウスから持ち帰った技術により作られた対ゼビウス軍・対ガンプ戦闘攻撃機であるソル・バルウにより撃退され、作戦は失敗に終わった。
ここまでが『ゼビウス』の話となる。
その後、『ゼビウス』での侵攻作戦失敗後、懲りることなくゼビウス・ガンプ・レプリカは再び地球へと攻撃を行い、これもソル・バルウによって阻まれた(『ソルバルウ』)。
これらはいずれも、トリビア#62にあるとおりである。
この一連の、ゼビウス・ガンプ・レプリカが単独行動に出たことで、ファー・ドラウトの発動条件である「6つの惑星のESPを同時に地球に送る」が成立しなくなった。
このことから惑星ゼビウスを含む6つのガンプ・レプリカは協議し、μ宇宙でESPの蓄積を待つと、ソル・バルウやバグルス(シオ・ナイト)からの反撃の確率は高いと判断し、これまで蓄積したESPを使ってμ宇宙からの離脱を決断した。
6つの星系を同時に超次元ワープ(スーパー・ロジック・ドライブ:SLD)することで、かつて分岐した並行世界のひとつ「ν宇宙」へと跳躍移動し、次なるファー・ドラウトまでバグルス(シオ・ナイト)とソル・バルウの存在しない世界でESPの回復を行うという行動に出たのである。
そしてこの並行世界跳躍はスーパー・ロジック・ドライブの実験を兼ねていた。
これが実現すれば、ファー・ドラウトで最適な位置に即座に出現することが可能となる。
つまり16000年周期を待たずに既定の位置に移動が可能となるからである。
こうして、6つのガンプ・レプリカとそれが居住する6つの星系は「ν宇宙」での主観的な歴史においては、はるかに過去に跳躍したのである。
突然であるが、UGSF世界観設定では、一般的SFにあるような時間の遡行はできない。
実は遡行したように見えているだけである。
これはどういうことかというと、UGSFの世界観設定では、世界は高度な知的生命体の物理の認識と、そこからどう判断と行動したかによって変化するという考え方に基づいている。
物理法則は現在の認識と変わりない。
しかしそれを高度知的生命体がどう認識し、どう行動し、その結果がどうであったかという認知・判断・行動・結果の4プロセスにおいて、高度な知的生命体であればあるほど想像と仮説によって結果に揺らぎが生じる。
この揺らぎの結果によって世界は分岐するとしている。
つまり、物理は普遍ではあるが、人を介することで結果が変わるのである。
例えば、机から消しゴムを落としたとしよう。
人の手を介さない物理の世界だけなら床まで落ちて跳ね返る。
しかしここに人が介在した時、落ちる消しゴムを掴んで落下を止める、掴みそこねて弾き飛ばし別の場所に落とす、無視して落ちるままにする、といった小さな物理的結果の分岐が発生する。
いずれの結果でも、また人はその結果を認識して判断と行動の分岐をしていき、物理的な変化をしていく。
これらの積み重ねが物理的に大きな変化を生じさせる。
いわゆるバタフライ・エフェクトである。
高度な知的生命体の存在しない世界では物理的な観測結果は常にひとつだが、高度な知的生命体が間に入ると、物理的結果は変化していくのである。
とはいえ、この選択が万物普遍の物理から離れれば離れるほど、それは荒唐無稽な世界となる。
こういった世界は徐々に物理に沿った世界へと引き戻されていく。
これにより並行世界は無限分岐とならず、ある程度の幅をもった状態で収斂していく。
つまり、この“認知と判断と行動が世界を分岐させる”という事実を早期に理解し、自己の行動規範として確定させた世界ほど、より高速に高度化していく。
こうなると、あるところに最初から高度な知能を備えた世界が存在していることに気づくであろう。
トリビア#30すなわち「μ宇宙」には、宇宙創生から高度な知的存在…ナイト族が存在した。
「このナイト族、最初の出現は現在の宇宙ではなく、現在の宇宙が創生する前の宇宙から始まる。」
とされるように、彼らは宇宙創生あるいは創生以前の世界から存在していた。
ナイト族は高度で知的な生命体であるがゆえに、自分たちの行動は変化を生むことを知っていた。
故に革新的意識体も保守意識体も緩やかで穏当な変化を望んだ。
しかしそれすらも判断と行動と結果が伴う。彼らがどこでその判断と行動に絡みはじめたかは不明だが、それが行われて以降、結果の積み重ねによりμ宇宙を軸にいくつかの並行世界が生まれた。
そして仮に宇宙創生より138億年とした場合、最も関与を薄くしているつもりであった彼らであっても、彼らが存在しない世界と比較すれば数万年規模で歴史を先行していたのである。
つまり、μ宇宙だけ歴史の進み方が変わったということである。
これは例に過ぎないが、μ宇宙が宇宙創生より138億年後に西暦2012年(※)だとしたら、我々の世界の138億年後は紀元前20000年という感じである。
※『ゼビウス』の設定年
さて、最初に戻ると、
「UGSF世界観設定では、一般的SFにあるような時間の遡行はできない。遡行したように見えているだけなのである。」
と書いた通り、μ宇宙でガンプ・ファミリーが跳躍しようとした行き先であるν宇宙は、跳躍した時点でこの宇宙創生からの進化の差で、恐ろしく過去(※)に到着していた。
※恐ろしく過去、がどの程度の過去かはご想像におまかせする。
そして、これは主観的には過去に遡行したのと同じこととなる。
おそらくν宇宙の地球人類は文明レベルにおいても、仮にバグルス(シオ・ナイト)が何らかの知恵を与えたとしてもソル・バルウを作れないほど未成熟であっただろう。
こうしてガンプ・ファミリーはESPを蓄積するための時間を稼いだのである。



